誰かと会話していて、相手の考えが自分と正反対の時や明らかに間違った情報を信じているときに皆さんはどうしますか?
自分の持っている正しい知識をひけらかして相手を論破しますか?そんなことをしたら大多数の人間はあなたを拒絶して話なんて聞いてくれないでしょう。下手をすれば喧嘩になります。
中学の時の恩師に言われたことがあります。「真実を伝えるときは控えめな方がいい」と。
私が信じていることがあります。そして相手にも信じてるものがあるのです。そこへの配慮がないと相手は自分を正当化する為に、鎧を着て拒絶してしまいます。
自分が生きてきた中で得た知識や情報があって、調べればすぐわかるのにこんなこともわからない奴はバカだと思うじゃないですか。
しかし相手にもこちらと同じ思いがあって、それが正義なのです。お互いの正義と正義が対立しているわけですね。そしてお互いその正義は譲れないから対話にならない。
ではどうすればいいのか。一旦その正義を置いておくしかない。
具体的に言うと一歩譲ってあげて「あなたの言うことが正しいかもしれない。でもね、私の浅い経験と狭い知識でいうと、ここではこういうデータが出ているけどそれはどう思う?」と聞いてみる。
簡単に言うと下手から出て「あなたが正しいかもしれないけど」という前提から行くのだ。するとようやく相手は聞く耳を持つようになる。つまり安心するのだ。
決して上から行ってはいけない。「あんたも自己正当化してるし、こっちが自己正当化するのが何が悪い」となってバリアを張ってしまう。
でもまぁ全く話が通じない人も一定数いるのでそんな人に出会ったら諦めてください。
実は我々人間は真実を言っているから耳を傾けるのではなく「この人の話は聞いてみよう」と思った時にしか耳を傾けないのだ。
学生時代を思い返してほしい。教師が何か言っていても我々生徒はその話の内容ではなく、言っている教師の態度を見ていたはずだ。
この教師は普段どういう態度で生徒と接しているか、見下した態度をとっていないか、ふんぞり返って偉そうにしていないかなど、今目の前で立派なことをしゃべっている教師が聞くに値する人間なのかを無意識に判断しているのです。
学生だから何でも耳を傾けると思ったら大間違いで、彼らは彼らでちゃんと教師を値踏みしているのだ。社会人でも同じです。傲慢で横柄な上司の話など右から左ですよね。
わかりやすいので教師と生徒の関係で説明しましたが、人間同士の関係性に上と下があるのなら、下からは変えられない。上が変えるんです。上が下に降りてきて「でも結局のところこの関係だよな」といってまた上に戻ればいいのです。
一回下に降りるというのは難しく技術がいりますが、これができる人間だけが相手に話を聞かせることができます。相手を見下し、マウントをとることだけ考えている人間は、聞いてるふりをされているだけで実は誰も聞いていないのです。
つまり誰かを説得しようとするときには我々一人一人が教師だと思わなければならないと思うんです。
教師は学生に対して必ず譲るし優しくなる。そして信頼関係を築いてから「俺の話を聞いて」と言えばいいのです。
難しいですがこれ以外に話を聞いてもらう方法はないと思います。全ては相手との信頼関係なのです。