近年、日本各地で発生する地震や台風、大雨などの自然災害により、停電が発生するケースが増えています。電気が途絶えると、私たちの生活は一気に不便になり、特に災害時には情報収集や食事の準備、安全確保が難しくなります。そのため、災害に備えた電力の準備は、今や不可欠な生活術といえます。
この記事では、4人家族が災害時に最低限必要とする1日の電力量を具体的に計算し、それを確保する方法について詳しく解説します。「備えあれば憂いなし」の精神で、災害時の生活を支える準備を整えましょう。
4人家族の1日に必要な電力の基本的な考え方
災害時に必要な電力量は、普段の生活スタイルとは大きく異なります。限られた電力をどのように使うかを考え、優先順位をつけることが重要です。
想定条件
- 家族構成:大人2人、子ども2人(小学生程度)
- 使用する電力は最低限に絞る。具体的には、以下の4つの生活機能に集中します
- 照明:夜間の視界確保と安全のため
- 通信:スマートフォンやラジオで情報収集
- 調理:簡易的な調理やお湯を沸かす用途
- 冷蔵:食材の保存や飲料の冷却(必要に応じて)
各種機器ごとの電力消費例
実際に必要となる電力量を把握するため、代表的な家電やデバイスの消費電力を見ていきましょう。
1. 照明
- LEDランタン: 消費電力約5W、1日8時間使用 → 40Wh
- 懐中電灯(乾電池式): 充電不要、非常用として併用可能
2. 通信
- スマートフォン: 1回のフル充電で約10Wh、1人1台×4台 → 40Wh/日
- ラジオ(手回し・乾電池式): 手動充電が可能で省エネ
3. 調理
- ポータブル電気コンロ: 500Wで10分使用 → 約83Wh/回
- 電気ケトル: 1Lの水を沸騰させるのに約120Wh
- カセットコンロ: 電気の代わりにガスで対応可能
4. 冷蔵
- ポータブル冷蔵庫: 約60Wで1日8時間使用 → 480Wh
- ※停電が長引く場合に有用。短期停電では保冷剤やクーラーボックスの併用が推奨。
必要電力の具体的な目安
上記を基に、1日の電力消費量を試算します。
用途 | 消費電力 (Wh) | 使用時間/回数 | 1日の消費量 (Wh) |
---|---|---|---|
照明 | 5W | 8時間 | 40Wh |
スマホ充電 | 10Wh/台 | 1回×4台 | 40Wh |
調理(簡易加熱) | 500W | 2回(10分/回) | 166Wh |
冷蔵 | 60W | 8時間 | 480Wh |
合計 | 726Wh |
最低限必要な電力
- 約700〜800Wh(1日分)
快適な生活を目指す場合
- 冷蔵庫や調理機器の稼働時間を増やした場合:1,500〜2,000Wh程度
必要な電力を確保する方法
1.ポータブル電源の活用
- 500Whモデル
- 軽量で持ち運びが容易。短期停電に対応可能。
- 1,000Whモデル以上
- 長期停電や冷蔵庫の稼働にも対応。
2.ソーラーパネルとの併用
- 太陽光発電を利用することで、日中に電源を充電可能。
- 100Wのソーラーパネルで晴天時に1日あたり400〜600Whの発電が期待できる。
3.モバイルバッテリー
- スマートフォンやLEDライト専用として、複数用意しておくと便利。
4.発電機
- ガソリン式やLPガス式の発電機を利用すれば、災害時にも安定した電力供給が可能。ただし、騒音や排気ガスに注意が必要。
実際のシナリオを想定した準備のポイント
1.短期停電(1日〜3日)
- 必要最低限の電力に集中(通信と照明)
- スマートフォン充電用のモバイルバッテリーを複数確保
- 調理はカセットコンロを活用し電力を節約
2.長期停電(4日〜1週間以上)
- ポータブル電源とソーラーパネルの併用が鍵
- ポータブル冷蔵庫の利用を検討
- 電力の優先順位を明確化し、効率的に使用
災害時に役立つアイテムのリスト
- ポータブル電源(500〜1,500Wh)
- ソーラーパネル(100W〜200W)
- LEDランタン・懐中電灯
- モバイルバッテリー(10,000〜20,000mAh)
- カセットコンロ(ボンベも余分に備蓄)
- 手回しラジオ(ライト付きのものが便利)
まとめ
災害時における電力の確保は、家族の安心と安全を守るために不可欠です。4人家族の場合、最低でも1日700Wh程度、快適な生活を目指すなら1,500Wh以上の電力を想定し、必要な準備を整えましょう。
理想を言えば大型の発電機を準備しておきたいところですが、その辺はお財布と相談して無理のない範囲で備えておきましょう。
災害はいつ起きるかわかりません。しかし、しっかりと準備をしておけば、いざという時に大切な家族を守ることができます。この記事を参考に、ご家庭での備えを進めてみてください。