決めつけないブログ

役立つ情報から無駄な情報まで

MENU

猫はどこから来たのか? 〜人類とともに歩んだイエネコの起源と進化〜

柔らかな毛並み、気まぐれな性格、そして時折見せる愛らしい仕草。猫は私たちの生活のなかで非常に身近な存在です。SNSでは猫の写真や動画が大人気を博し、キャットカフェや猫をテーマにした書籍、映画も数多く存在しています。現代社会において、猫は単なるペットを超えた文化的存在ともいえるでしょう。

しかし、ふと考えてみると「猫はそもそもどこから来たのか?」という問いに明確に答えられる人はそう多くありません。猫はいつ、どのようにして人間とともに暮らすようになったのか。その起源をたどることで、私たちと猫との不思議で長い関係が見えてきます。

 

 

猫の祖先は何か?

現代の「イエネコ(Felis catus)」は、ネコ科の一種です。ネコ科の動物には、トラやライオン、ヒョウ、チーターといった大型の種も含まれていますが、イエネコはその中でも「小型ネコ属(Felis)」に分類される動物です。

イエネコの最も近い野生の祖先は「リビアヤマネコ(Felis lybica)」です。これはアフリカ大陸北部から中東一帯に生息する野生猫で、現在でも生存しています。リビアヤマネコはイエネコによく似た姿をしており、体の大きさや毛の模様、性格なども共通点が多く、遺伝子解析によっても両者の強い繋がりが確認されています。

リビアヤマネコは夜行性で単独行動を好み、人間との関係を持つ以前から優れたハンターでした。穀物を保存する人間の集落にネズミが集まり、それを狙ってリビアヤマネコが近づいたことが、後の家畜化のきっかけになったと考えられています。

猫の祖先「リビアヤマネコ」とは?特徴やどのような歴史でイエネコになったのか解説<!-- -->|ニフティニュース

出典:@nyftyニュース:猫の祖先「リビアヤマネコ」とは?特徴やどのような歴史でイエネコになったのか解説

 

猫の家畜化はいつ、どこで始まったのか?

猫の家畜化の起源をめぐっては、長らく研究が続けられてきました。最も古いイエネコの家畜化の証拠とされるのは、キプロス島で発掘された約9500年前の人間と猫の共葬の遺跡です。このことから、すでに新石器時代には人間と猫が密接な関係を築いていたことがわかります。

この時期、人類は狩猟採集生活から農耕生活へと大きく舵を切り始めていました。農業によって穀物を蓄えるようになり、その倉庫に集まるネズミを駆除する役割として、猫は自然と人間の生活圏に入り込んできました。最初はお互いに距離を保ちながらの共存関係でしたが、次第に猫は人間の生活に溶け込むようになります。

とくに古代エジプトでは、猫は神聖視されるようになりました。エジプト神話に登場する女神バステトは猫の頭部を持ち、愛や家庭を象徴する存在とされました。猫は害獣から穀物を守る存在としてだけでなく、宗教的にも重要な役割を果たしていたのです。エジプトでは猫を殺すことは禁忌とされ、死後にミイラにされることもありました。

 


世界への拡散

家畜化された猫は、やがて世界中へと拡散していきます。その主要なルートの一つが、古代ローマ帝国やフェニキア人の海上貿易でした。猫は船の上でもネズミ対策として重宝され、各地の港に寄港するたびに陸に降ろされ、定着していきました。

シルクロードやインド洋交易路を通じて、猫はアジアへも到達します。特に中国では漢代以降に猫の存在が記録され始め、宮廷や寺院で飼育されるようになりました。

一方、中世ヨーロッパでは猫は不遇の時代を迎えます。キリスト教の影響のもと、猫はしばしば魔女や悪魔の使いとされ、迫害の対象となりました。猫の大量虐殺が行われたこともあり、ペスト(黒死病)の流行時には猫の数が激減してしまったため、ネズミの爆発的な増加を招いたとする説もあります。その後、猫は再びネズミ駆除の有用性が見直され、徐々に復権を果たしました。

 

日本に猫が来たのはいつ?

日本に猫が伝わったのは、仏教が伝来した飛鳥・奈良時代(6〜7世紀)と考えられています。中国や朝鮮半島からの渡来僧が経典とともに猫を連れてきたとされ、経典をネズミから守る役割を担っていたようです。

平安時代になると、猫は宮中や貴族社会で愛玩動物として飼われるようになります。『枕草子』や『源氏物語』には猫に関する記述があり、当時の人々が猫に愛情を持って接していた様子がうかがえます。

鎌倉・室町時代を経て、江戸時代になると猫は庶民にも広まり、町猫として町中で自由に歩き回るようになります。浮世絵にもたびたび猫が登場し、ユーモラスで自由な存在として描かれました。江戸時代の日本人にとっても、猫は気ままで親しみやすい動物だったのでしょう。

 

現代の猫:ペットから文化的存在へ

現在では、猫は世界中で人気のペットとなっています。特に都市部では、犬に比べて飼いやすいこともあり、多くの家庭で猫が飼われています。品種改良によって多様な毛色や体格の猫が登場し、ペット産業も大きく発展しています。

一方で、猫は「飼われている」のか「共に住んでいる」のか、という問いも投げかけられます。犬に比べて自由気ままな性格を持ち、完全には人間に従わない猫の姿は、家畜化されながらも野生性を残す存在として特異です。

また、近年では「地域猫」や「猫島」など、野良猫と人間が共生する取り組みも注目されています。SNSやYouTubeなどで猫の動画が日常的に共有される時代になり、猫は物理的なペットにとどまらず、デジタル空間においても私たちの心を癒す存在になっています。

 

おわりに:猫と人間のこれから

猫は野生のハンターでありながら、いつしか人間のそばに寄り添うようになりました。そして現在に至るまで、猫は人間と完全には融合せず、独自の距離感を保ちながら暮らしています。それが私たちにとって、猫がいつまでも魅力的な存在である理由の一つかもしれません。

「猫はどこから来たのか?」という問いは、生物学的な起源にとどまらず、人間の文化や社会との関係性をも考えさせられる深いテーマです。そして今なお、私たちの生活のなかで新たな役割を見つけながら、猫は人間とともに歩み続けています。

 

 

sikemokux.com

sikemokux.com

sikemokux.com

sikemokux.com

sikemokux.com

sikemokux.com

sikemokux.com

sikemokux.com

sikemokux.com