夏になると、自動販売機でキンキンに冷えた飲み物を手に取りたくなったり、氷たっぷりのジュースをグイッと飲み干したくなりますよね。確かに一時的には涼しく感じるものの、実はその「冷たさ」があなたの体に思わぬ負担をかけていることをご存知でしょうか?
この記事では、なぜ夏に冷たい飲み物を欲しがるのか、そしてそれが体にどのような影響を与えるのかを解説し、健康的に夏を乗り切るための対策も紹介します。
なぜ人は冷たい飲み物を欲しがるのか
暑さで汗をかき、体が熱を持っているとき、冷たいものを欲するのは自然な反応です。冷たい飲み物を口にすると、のどごしが良く、一時的に体が冷えたように感じます。
また、現代社会では自販機やコンビニ、冷蔵庫が至るところにあるため、いつでもどこでも冷えた飲み物が手に入ります。便利がゆえに「冷たい飲み物が当たり前」という感覚になりやすく、ついつい飲みすぎてしまうのです。
冷たい飲み物が体に与える悪影響
・胃腸機能の低下
私たちの胃腸は「冷え」に弱い臓器です。冷たい飲み物を頻繁に摂取すると、内臓の温度が下がり、消化機能が鈍くなります。その結果、食欲不振や消化不良、腹痛などが起こることも。
特に夏は食事が軽くなりがちなので、胃腸への負担はより顕著に現れます。
・内臓冷えによる夏バテ
冷たい飲み物で体の内側が冷えると、自律神経が乱れ、体温調節がうまくできなくなります。これが「夏バテ」の原因のひとつです。
「なんとなく疲れが取れない」「ずっとだるい」という症状がある人は、内臓冷えを疑ってみるとよいかもしれません。
・免疫力の低下
内臓が冷えると血流が悪くなり、免疫細胞である白血球の働きも低下します。すると、風邪をひきやすくなったり、体調を崩しやすくなるのです。
夏風邪が長引く人は、冷たい飲み物のとりすぎが原因かもしれません。
・女性に多い「冷え性」の悪化
女性は筋肉量が少なく、もともと冷えやすい体質の人が多いです。冷たい飲み物の習慣があると、慢性的に体が冷え、手足の末端や下半身が冷たくなりがち。生理不順や肌荒れの原因にもつながります。
冷たい飲み物との付き合い方(対策)
・飲むなら常温か少し冷たい程度に
氷を入れたドリンクや、冷蔵庫でキンキンに冷えた飲み物ではなく、常温や少し冷たい程度のものを選びましょう。麦茶やミネラルウォーターを常温で飲むだけでも、体への負担はかなり減らせます。
・温かい飲み物を積極的に取り入れる
夏でも朝起きたら白湯、食後には温かいお茶、寝る前にはハーブティーなど、温かい飲み物を意識して取り入れることがおすすめです。胃腸がじんわりと温まり、全身の血流もよくなります。
・氷入りドリンクを避ける
氷が溶けることで飲み物の温度がさらに下がり、体温を急激に奪ってしまいます。また、氷入りの飲み物は飲みごたえが良いため、一気に飲みすぎてしまうリスクも。なるべく氷なしで、ゆっくりと飲む習慣をつけましょう。
暑い日は牛乳がおすすめ
1. 失われがちな栄養を補える
夏は食欲が落ちたり、冷たい麺類ばかり食べたりして、栄養が偏りやすい季節です。牛乳は以下のような栄養素をバランスよく含んでおり、補助的な栄養源として非常に優秀です。
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カルシウム:骨や神経の働きを助ける
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タンパク質:筋肉の回復・維持に必須
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ビタミンB2:エネルギー代謝を助ける
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脂質・糖質:エネルギー源としてすばやく吸収される
特に成長期の子どもや、夏バテ気味で食が細くなった大人にとっては、効率よく栄養をとれる理想的な飲み物です。
2. 疲労回復に役立つ成分がある
牛乳に含まれる「トリプトファン」や「カルシウム」は、神経の興奮を鎮めたり、ストレスを和らげたりする働きがあります。
夏は暑さによるストレスや、睡眠の質の低下が問題になりますが、牛乳を飲むことで体と心のリラックスを促し、疲労回復につながります。
3. 体温を急激に下げない
冷たいジュースや炭酸飲料は一時的に涼しく感じますが、急激に体温を下げて内臓を冷やし、夏バテや消化不良を招く原因にもなります。
一方で、冷やしすぎない牛乳(15〜20℃程度)は、体に負担をかけず、ゆるやかに涼をとれる飲み物です。温めてもおいしく飲めるので、朝や夜にホットミルクにするのもおすすめです。
4. 脱水対策に意外と有効
牛乳には電解質(カリウムやナトリウム)が含まれており、水分補給だけでなく軽い熱中症予防にも役立ちます。運動後や外出後、軽く汗をかいたあとに飲むと、水分・塩分・栄養の補給を同時に行えるというメリットがあります。
5. 夏の冷たいおやつ代わりになる
食欲がないときは、牛乳をベースにした飲み物やおやつを作るのも◎。
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牛乳+バナナでスムージー
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牛乳寒天
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ミルクゼリー
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自家製ミルクアイス(ただし食べすぎ注意)
牛乳をおやつ感覚で取り入れれば、無理なく栄養補給ができます。
6. 飲み方のポイント
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冷やしすぎない(10〜20℃がおすすめ)
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空腹時は避ける(胃に負担がかかることがある)
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お腹を壊しやすい人は温めて飲む(ホットミルク)
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1日200〜400ml程度が目安
冷たい飲み物に頼らない涼の取り方
飲み物に頼らず、他の方法で涼をとるのも重要です。
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首元や脇を冷やす:保冷剤や冷却タオルを活用
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服装を工夫する:通気性の良い麻や綿素材の服を選ぶ
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室内環境を整える:扇風機とエアコンを併用し、室温を25〜28℃に保つ
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味覚で涼感を演出:ミントやレモンなど、香りで涼しさを感じさせる食品を摂る
こうした「体の外からの冷却」も取り入れながら、内臓はなるべく冷やさないことがポイントです。
まとめ
暑い季節に冷たい飲み物が恋しくなるのは自然なことですが、飲みすぎると内臓が冷え、夏バテや体調不良、免疫力の低下につながります。
大切なのは、「冷たいものを完全に避ける」のではなく、「冷やしすぎない意識を持つこと」。常温の飲み物や温かいお茶を取り入れ、体の内側から健康を守りながら、快適な夏を過ごしましょう。