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かつて日本に実在したとされる山の民『サンカ』とは何者なのか?伝説?作り話?その真実に迫る

あなたは、かつてこの日本に「サンカ」と呼ばれた漂泊民族がいたことをご存知でしょうか?

日本の近現代史において、謎めいた存在として語られてきた「サンカ(山窩)」。戸籍にも記録されず、山を転々と移動しながら生活していたとされる人々であり、その暮らしぶりや実在性については現在も議論が続いています。

一部では「山の民」や「漂泊民」として民俗学や文学の題材になりながらも、政府の公式記録にはほとんど姿を現さないことから、「幻の民」とも呼ばれる存在です。

2013年に公開されたジブリ映画「かぐや姫の物語」でも描かれていましたね。

本記事では、サンカが本当に実在したのか?どのような生活をしていたのか?彼らの風習や言語、そして現代に残された痕跡を辿りながら、その実像に迫っていきます。

 

 

サンカは実在したのか? ― 実在性をめぐる議論

サンカの存在が広く注目され始めたのは、明治時代後期から昭和初期にかけてのことです。しかし、彼らは戸籍に登録されていなかったり、定住せずに移動生活を続けていたため、国勢調査や行政記録にはほとんど登場しません。そのため、一部では「実在しなかったのでは?」という疑問も投げかけられてきました。

一方で、実地調査を行った民俗学者やフィールドワーカーたちは、山村や辺境地でサンカらしき人々に接触し、その証言を記録しています。

たとえば民俗学者・宮本常一は、著書『忘れられた日本人』などで、山間部で出会った「戸籍のない人々」や「山に暮らす漂泊者」について紹介しています。また、作家の五木寛之も『風の王国』などでサンカをモチーフにした物語を展開し、文学的にもサンカ像を定着させてきました。

そのため、完全な創作とは考えにくく、少数ながらも実在した可能性が高いと考える研究者が多くなっています。

 

サンカの生活様式 ― 山に生きるということ

サンカは主に山間部や河川沿いで暮らしていたとされ、季節ごとに拠点を移動する漂泊民の性格を持っていました。定住を避け、狩猟・採集・漁撈などを中心に生活を営んでいたため、生活基盤がきわめて流動的だったのです。

生業としては、次のようなものがあげられます。

  • 川漁(簗などによる鮎漁)

  • 木地作り(ろくろを使った木製品の製造)

  • 薬草や山菜の採集と売買

  • 簡単な細工物や竹細工の販売

  • 狩猟(イノシシ・鹿など)

また、彼らは山村の農家と物々交換を行うことで、最低限の生活物資を手に入れていたとされます。例えば、鮎や木製品を交換して米や塩を得るといった具合です。

彼らが定住を避けた背景には、重税や兵役、身分制度からの逃避という要素もあったとされ、あえて「見えない存在」として生き延びる選択をしていたと考えられています。

 


サンカの言葉と風習

興味深いのは、サンカには独特の言葉や記号が存在したとされる点です。たとえば、仲間同士の間でだけ通じる「符牒」と呼ばれる記号や言語を使い、移動経路や危険の有無、食料の残りなどを伝えていたという記録があります。

また、宗教的な儀礼や死生観にも独自の要素があったとされ、仏教や神道とは異なる自然信仰や霊的観念を持っていた可能性が指摘されています。

一方で、同じく山の生活を基盤とした「マタギ」や「木地師」、あるいは被差別部落の人々との混同もあり、境界線は必ずしも明確ではありません。これが、サンカの実像をより曖昧なものにしている要因の一つでもあります。

 

研究者たちの見解と資料

サンカ研究の第一人者とされるのが、民俗学者・宮本常一です。彼は日本各地を歩いて民間伝承を記録する中で、戸籍を持たない人々や、山奥で密かに暮らす集団に出会い、その存在を記録しています。

また、作家・五木寛之は『風の王国』『百寺巡礼』などの作品で、サンカを象徴的な「異端者」や「もう一つの日本の生き方」として描きました。その結果、サンカは文学の世界でも象徴的な存在となりました。

ただし、研究には問題点もあります。取材対象の記憶の曖昧さや、証言の信憑性、実在との距離感など、検証が難しい部分も多いのです。そのため、「サンカ像」はどこまでが実像で、どこからがロマンや想像なのか、学問的には未解決のままです。

 

サンカの痕跡は今も残るのか?

昭和の中期以降、日本の高度経済成長とともに、サンカ的な移動生活は急速に消滅していきました。道路が整備され、行政の目が隅々にまで行き渡るようになったことで、山の民は社会に組み込まれ、もはや「見えない存在」ではいられなくなったのです。

しかし、彼らの痕跡は完全には消えていません。たとえば、サンカがよく通ったとされる山道や湧水地、村外れの小屋跡、あるいは地域に伝わる奇妙な言い伝えや地名などに、わずかながらその痕跡が残されています。

これは完全に私の勝手な憶測ですが、山の上にある「ぽつんと一軒家」はサンカの末裔なのではないかと思うのです。

近年では、アウトサイダー文化やミニマリズムの文脈で「サンカ的生活」が再評価される動きもあります。文明から距離を置いた自由な生き方、自然と共に生きる知恵として、サンカの存在が再び注目されているのです。

 


サンカという存在が問いかけるもの

サンカとは、単なる「山の民」ではありません。彼らの生き方は、私たちが当然とする「定住」「戸籍」「社会制度」からの逸脱であり、現代社会に対する鋭い問いかけを含んでいます。

  • 家を持たないという選択

  • 国民として認識されないことの自由と不自由

  • 山の中で自然とともに生きる技術と哲学

これらは、現代の「生きにくさ」に悩む多くの人々にとって、一つのヒントを与えてくれる存在かもしれません。

 

まとめ

サンカが本当に実在したのか、それとも文学や民俗学の想像が膨らんだものなのか、その答えは今なお定かではありません。しかし、彼らにまつわる物語が私たちに訴えるものは、きわめて現代的な問いでもあります。

サンカという存在は、記録されなかった人々の象徴であり、「もう一つの日本史」を考えるための重要な鏡です。山に生き、社会の枠外で静かに暮らした彼らの足跡は、文明の陰に潜む多様な生き方の可能性を、今も私たちに語りかけているのです。

 

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