夜、布団に入ってもなかなか眠れない――そんな経験をしたことがある人は多いでしょう。
最近では、「目を温めると眠れる」「ホットアイマスクが気持ちよくてすぐ寝落ちする」といった声がSNS上で広がっています。コンビニやドラッグストアでも、蒸気でじんわり温まるタイプのアイマスクが定番商品となり、人気を集めています。
では、目元を温めると本当に眠りやすくなるのでしょうか？それは単なる“気のせい”ではなく、実は科学的にも根拠のあるリラックス法なのです。この記事では、その理由と正しいやり方、注意点までを詳しく解説していきます。
- 目元を温めると眠りやすくなると言われる理由
- 科学的根拠：研究でわかっていること
- 心理的要因も大きい？
- 実践方法：効果を最大限にするコツ
- やってはいけないケース・注意点
- まとめ：眠れない夜は“目元のぬくもり”を味方に
目元を温めると眠りやすくなると言われる理由
■ 温熱による「リラックス効果」
目の周りには、細かい筋肉（眼輪筋など）や血管が集中しています。パソコンやスマートフォンを長時間使うと、これらの筋肉が緊張し、血流が滞ってしまいます。
この状態では目だけでなく、首や肩、頭部にもコリが波及し、体が“戦闘モード”のままになってしまうのです。
目元を温めることで、その緊張がほぐれ、血行が改善されます。温かさの刺激は副交感神経を優位にし、体を「休息モード」に切り替えるスイッチとして働きます。つまり、目元を温める＝眠りの準備を整える行為といえるのです。
■ 「体温リズム」と眠気の関係
人の体は眠る前に体温が少し上がり、その後ゆるやかに下がるタイミングで眠気が訪れます。
これは生理的なリズムであり、体温の変化が「そろそろ寝る時間ですよ」と脳に知らせる役割を果たしています。
目元を温めると、局所的に体温が上がります。その後、自然に熱が引く過程で体全体の深部体温が下がりやすくなり、結果的に眠気を感じやすくなるのです。つまり、目元を温めることは入眠の生理的サイクルを助けるサポートにもなるのです。
科学的根拠：研究でわかっていること
実際に「目元を温めると眠りやすくなる」という研究結果はいくつか存在します。たとえば、慶應義塾大学と資生堂の共同研究では、就寝前に約40℃のホットアイマスクを10分間使用した被験者は、
・寝つきまでの時間が短くなった
・深い睡眠（徐波睡眠）の時間が増加した
という結果が報告されています。
この効果は、温熱によって末梢血流が改善し、脳が「休息状態」に切り替わるためと考えられています。また、温熱刺激によって副交感神経が優位になり、心拍数が下がることも確認されています。
一方で、温度が高すぎると交感神経が刺激されて逆効果になる場合もあります。そのため、「40℃前後」「10分程度」という穏やかな温かさがポイントです。
心理的要因も大きい？
眠りは、身体の状態だけでなく心の安定にも深く関係しています。温かい感覚は人に安心感を与えます。寒い夜に布団の中に入るとホッとするのと同じで、「ぬくもり」を感じることで心が落ち着き、眠気が自然と訪れます。
さらに、毎晩寝る前にホットアイマスクをすることを習慣にすると、それが“眠る合図”となります。つまり、「目元を温める＝睡眠モードに入る」という**条件づけ効果（習慣化による心理的スイッチ）**が働くのです。
香り付きタイプのアイマスクも人気があります。特にラベンダーやカモミールなどの香りは、脳のリラックス中枢を刺激して副交感神経を活発にし、入眠を助けることがわかっています。嗅覚と温感の両方で癒される――これも、目を温めることの大きな魅力といえるでしょう。
実践方法：効果を最大限にするコツ
では、どのようにすれば目元の温め効果を最大限に発揮できるのでしょうか？
■ 理想の温度と時間
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温度：40℃前後（熱すぎない程度のぬるめ）
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時間：10〜15分程度
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タイミング：就寝の30分前〜直前
この条件で使用すると、副交感神経がゆるやかに働き始め、体が自然と眠りの準備に入ります。
■ 方法の種類
１.市販の蒸気式アイマスク
使い捨てタイプで衛生的。香り付きも多く、旅行先などでも便利。
２.電子レンジ式ホットアイマスク
繰り返し使えるエコタイプ。タオル地の優しい肌触りが特徴。
３.充電式アイマスク
コスパ最強普段使いに最適
どの方法でも共通して言えるのは、清潔さを保つことと、過熱しすぎないこと。直接肌に触れる部分なので、衛生面と安全性を意識しましょう。
やってはいけないケース・注意点
目元を温めるのは基本的に安全ですが、以下のような場合は控えるべきです。
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結膜炎やものもらいなど炎症があるとき
温めることで炎症を悪化させる恐れがあります。 -
コンタクトレンズを装着したままの使用
乾燥や変形の原因になります。必ず外してから行いましょう。 -
目の手術後や疾患がある場合
医師の許可を得てから使用してください。 -
高温のまま長時間使用
やけどや乾燥を招く恐れがあります。適温・短時間が基本です。
安全な範囲で行えば目元の温熱ケアは非常に有効です。しかし、体調や目の状態によっては逆効果になることもあるため、慎重に行いましょう。
まとめ：眠れない夜は“目元のぬくもり”を味方に
現代人の多くは、日々のストレスやデジタル機器による疲れで、知らず知らずのうちに「眠れない体」になっています。そんなときこそ、目元の温かさが癒しになります。
目元を温めることで血流が改善し、副交感神経が優位になって心も体もリラックス。体温リズムが整い、自然な眠気が訪れやすくなります。科学的にも心理的にも、“目のぬくもり”は眠りの味方なのです。
寝る前のスマホをやめて、静かな照明の中でホットアイマスクをつけてみてください。それだけで目も心もゆるみ、穏やかな眠りへと導かれるはずです。
今日も一日お疲れさまでした。あなたの夜が、やさしい温もりとともに静かな眠りに包まれますように――。
