便秘は、日常生活に大きな影響を与える悩みの一つです。便秘になると、お腹が張ったり、腹痛や吐き気などの不快な症状が現れたりします。また、便秘が長期化すると、肌荒れや体臭、免疫力の低下などの健康問題にもつながります。
便秘の原因はさまざまですが、食生活や運動不足、ストレスなどが主な要因とされています。この記事では、便秘の原因と改善法について詳しく解説します。
便秘を解消するためには、まず自分の便秘のタイプを知ることが重要です。便秘のタイプによって、適切な対策が異なります。次に、食事や水分摂取、運動などの生活習慣を見直しましょう。
後半では便秘に効果的な食品や飲み物、運動方法などを紹介します。最後に、便秘に効くサプリメントや薬についても触れます。便秘は放置しておくと悪化する可能性がありますので、早めに対処しましょう。
便秘の原因
便秘とは、排便の回数が減少したり、便が硬くなったり、排便時に苦痛を感じたりする状態のことです。便秘になると、腹痛や腹部膨満感、食欲不振などの不快な症状が現れることがあります。
また、便秘が長期化すると、大腸癌や痔などの重大な疾患のリスクも高まります。便秘の原因はさまざまですが、主に以下のようなものが挙げられます。
食生活の乱れ
‐ 食物繊維や水分が不足すると、便が硬くなります。食物繊維は野菜や果物、海藻などに多く含まれています。水分は水やお茶、スープなどで摂取しましょう。
- 食事のリズムが乱れると、腸の動きも乱れます。朝食を抜いたり、夜食を摂ったりすることは避けましょう。
- 油っこい食べ物や甘いもの、カフェインやアルコールなどは、腸の働きを低下させます。適度に控えましょう。
生活習慣の乱れ
- 運動不足は、腸のぜん動運動を弱めます。ぜん動運動とは、腸が自動的に行う収縮運動のことで、便を腸内で進める役割があります。運動は歩くことから始めてみましょう。
- 睡眠不足やストレスも、腸の働きに影響します。睡眠は6～8時間程度を目安にとりましょう。ストレスはリラックス法や趣味などで解消しましょう。
- 排便の我慢は、便秘の悪化につながります。トイレに行きたいと感じたら、できるだけ早く行きましょう。
薬や病気
- 鉄剤や鎮痛剤、抗うつ剤などの薬は、副作用として便秘を引き起こすことがあります。服用中に便秘になった場合は、医師に相談しましょう。
- 糖尿病や甲状腺機能低下症などの内分泌系の病気や、パーキンソン病や脳卒中などの神経系の病気も、便秘の原因になることがあります。これらの病気にかかっている場合は、定期的に受診しましょう。
便秘の改善法
便秘を改善する方法は大きく分けて、食事や水分の摂取、運動やマッサージ、薬やサプリメントなどの３つのカテゴリーに分類できます。それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
食事や水分の摂取
食事や水分の摂取は、便秘を改善するために最も重要な要素です。食事では、食物繊維を多く含む野菜や果物、海藻や豆類などを積極的に摂ることがおすすめです。食物繊維は、便の量や水分を増やし、腸のぜん動運動を促進します。
また、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を増やす発酵食品やヨーグルトも有効です。一方で、便秘を悪化させる可能性がある食品は控えるようにしましょう。
例えば、油っこいものやチーズなどの動物性脂肪、白米やパンなどの精製された炭水化物、バナナや柿などの渋みが強い果物などです。これらの食品は、便を固くしたり、腸内で発酵したりしてガスを発生させたりします。
水分の摂取も便秘の予防や改善に欠かせません。水分不足は、便が硬くなって排出しにくくなる原因になります。一日に摂るべき水分量は個人差がありますが、一般的には2リットル程度と言われています。
ただし、水分と言っても、水やお茶などの無糖飲料が望ましく、コーヒーや紅茶などのカフェイン入り飲料やアルコールは控えるようにしましょう。カフェインやアルコールは利尿作用があり、体内の水分を奪ってしまいます。
運動やマッサージ
運動やマッサージは、腸のぜん動運動を刺激して便秘を改善する効果があります。運動では、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動がおすすめです。有酸素運動は血行を良くし、腸内温度を上げてぜん動運動を活発化させます。
また、腹筋や背筋などの筋肉を鍛えることも、腹圧を高めて便の排出を促します。運動は、一日に30分程度、週に3回以上行うことが目安です。ただし、運動の強度や時間は自分の体力に合わせて調整し、無理をしないようにしましょう。
マッサージは、お腹や足のツボを刺激することで便秘を改善する効果があります。お腹のマッサージは、右下から左下、左上、右上と時計回りに円を描くように優しく押すことがポイントです。
足のツボは「三陰交」というツボが有名です。このツボは、足首（くるぶし）から指4本分上がったところにあります。
このツボを親指で押すと、腸の働きを整える効果があります。マッサージは、一日に数回、5分程度行うことが目安です。ただし、マッサージの強さや時間は自分の感覚に合わせて調整し、痛みや不快感を感じたらやめるようにしましょう。
薬やサプリメント
食事や水分の摂取、運動やマッサージなどの生活習慣の改善だけでは便秘が解消されない場合は、薬やサプリメントを利用することも一つの方法です。薬やサプリメントには、便秘の原因や症状に応じて様々な種類があります。例えば、
- 海藻類やセルロースなどから作られた食物繊維製剤は、便の量や水分を増やして排出を促します。
- センノシドやビスコディールなどの刺激性下剤は、腸壁に刺激を与えてぜん動運動を活発化させます。
- マグネシウムやナトリウムなどの浸透圧性下剤は、腸内に水分を引き込んで便を柔らかくします。
- オリーブオイルやグリセリンなどの油性下剤は、便と腸壁の摩擦を減らして排出をスムーズにします。
- 乳酸菌やビフィズス菌などのプロバイオティクスは、腸内環境を改善して便通を正常化します。
これらの薬やサプリメントは、市販品も多くありますが、自己判断で使用するのではなく、医師や薬剤師などの専門家に相談して使用するようにしましょう。また、長期間や頻繁に使用すると依存性が生じたり副作用が起こったりする可能性があるので注意が必要です。
便秘に効く食べ物
便秘の原因はさまざまですが、食生活の乱れが大きな要因の一つです。では、どんな食べ物を摂ると便秘が改善されるのでしょうか？ここでは、便秘に効く食べ物の特徴と具体的な例をご紹介します。
便秘に効く食べ物には、主に以下の3つの特徴があります。
- 水分を多く含む
- 食物繊維を豊富に含む
- 腸の動きを促す成分を含む
水分を多く含む食べ物は、便の水分量を増やして柔らかくする効果があります。水分不足は、便が硬くなって排出しにくくなる原因の一つです。
水分を多く含む食べ物としては、果物や野菜、スープやヨーグルトなどが挙げられます。1日に摂る水分量は、体重1kgあたり30ml程度が目安です。
食物繊維を豊富に含む食べ物は、便の量を増やして腸内での滞留時間を短くする効果があります。食物繊維は、消化されないまま腸に到達し、腸内細菌の餌となって発酵します。この過程で発生するガスや酸は、腸のぜん動運動を刺激して排便を促します。
また、食物繊維は水分を吸収してふくらむ性質があるため、満腹感も得られます。食物繊維を豊富に含む食べ物としては、穀物や豆類、海藻類、キノコ類などが挙げられます。1日に摂る食物繊維量は、20g以上が目安です。
腸の動きを促す成分を含む食べ物は、便秘の予防や改善に有効です。腸の動きを促す成分としては、オリゴ糖や乳酸菌などのプレバイオティクスやプロバイオティクスがあります。
プレバイオティクスとは、腸内細菌の増殖や活性化に役立つ成分で、オリゴ糖やイヌリンなどがあります。
プロバイオティクスとは、腸内細菌として有益な働きをする微生物で、乳酸菌やビフィズス菌などがあります。
これらの成分は、腸内環境を整えて便通を改善するとともに、免疫力や代謝の向上にも寄与します。腸の動きを促す成分を含む食べ物としては、ヨーグルトや納豆、こんにゃくなどが挙げられます。
上記の特徴を持つ食べ物の中から、便秘に効くとされる代表的な食べ物をいくつか紹介します。
バナナ
バナナは、水分と食物繊維をバランスよく含む食べ物です。特に、熟していない青いバナナには、オリゴ糖やレジスタントスターチというプレバイオティクスが多く含まれます。これらの成分は、腸内細菌の活性化や便の水分量の調整に役立ちます。
また、バナナにはカリウムというミネラルも豊富に含まれており、体内の水分バランスを整える効果もあります。バナナは、朝食や間食として摂るのがおすすめです。
プルーン
プルーンは、ドライフルーツの中でも特に食物繊維が多い食べ物です。プルーンには、ペクチンやセルロースという水溶性と不溶性の両方の食物繊維が含まれており、便の量と柔らかさを増やします。
また、プルーンにはソルビトールという糖アルコールが多く含まれており、これも便秘の改善に有効です。ソルビトールは、腸内で発酵されて腸の動きを刺激し、また水分を引き寄せて便を柔らかくします。プルーンは、1日に5～10個程度摂るのが目安です。
昆布
昆布は、海藻類の中でも特に食物繊維が豊富な食べ物です。昆布には、アルギン酸やフコイダンという水溶性の食物繊維が多く含まれており、便の水分量を増やして柔らかくします。
また、昆布にはヨウ素というミネラルも豊富に含まれており、これは甲状腺ホルモンの合成に必要な成分です。甲状腺ホルモンは、基礎代謝や消化吸収などの生体機能に関与しており、不足すると便秘や肥満などのリスクが高まります。昆布は、だし汁や煮物などで摂るのがおすすめです。
便秘に効く市販薬
【酸化マグネシウムE便秘薬】
お腹が痛くなりにくくクセになりにくい非刺激性。ミネラル成分(酸化マグネシウム)が腸内に水分を集め、便を柔らかくして膨らませ、お通じを促します。
【タケダ漢方便秘薬】
生薬の“大黄"と“甘草"を配合した漢方処方「大黄甘草湯」の便秘薬で、大腸がもともと持っているぜん動運動を促し、自然に近いお通じを実現します。
【コーラック２】
ジオクチルソジウムスルホサクシネートが便に水分をふくませ適度に軟らかくし、ビサコジルが大腸を直接刺激して運動を活発にすることにより、便秘にしっかり効きます。
まとめ
便秘は、日常生活に大きな影響を与える悩みの一つです。便秘の原因は、食生活や水分摂取量、運動不足、ストレスなどさまざまですが、それぞれに対応する改善法があります。
食物繊維や発酵食品を積極的に摂ることで腸内環境を整えたり、水分やお茶をこまめに飲んだり、適度な運動をしたりすることで腸の動きを促したり、リラックス効果のあるアロマやハーブティーを利用したりすることでストレスを解消したりすることができます。
便秘は放置すると慢性化したり、腸内細菌のバランスが崩れたり、肌荒れや体臭などのトラブルを引き起こしたりする可能性があります。便秘に悩む方は、自分の生活習慣を見直して、上記の改善法を試してみてください。便秘を解消することで、健康的で快適な生活を送ることができます。
