以前年上の知人男性から相談を受けた。相談というよりは愚痴に近いかもしれないけど…
その方を仮にМさんとしておきます。
Mさんには3人のお子さんがいて、長男は故郷を離れて県外に就職したそうだ。しかし何年も実家に帰ってこないらしい。
そのうち恋人を見つけて結婚することになったのだが、故郷には帰らず恋人の地元で居を構えたそうだ。どうやら恋人の方が地元を離れたくないらしい。
Mさんにしてみれば、長男は両親の近くにいて最後まで面倒を見るというのが当然だと思っているし、本音を言えば寂しいということだった。
Mさんは長男に対して「よく考えろよ」と言った後、「君の選んだことだからそれは尊重するよ」という趣旨のことを伝えたらしい。しかし一番大事な本音の部分。『寂しいから近くにいてほしい』という自分の気持ちは伝えていないのだ。
私にも息子がいる。わけあって一緒には暮らしていないが、もし自分がMさんと同じ状況になったらどう言おうかと考えたとき、これを言おうと思っている。
まずは自分の正直な気持ち。でも最後の決断はお前。
なぜなら正直な気持ちを入れないと息子との関係は噓になってしまうから。だって会社がそうじゃないですか。上司と部下でうその関係をやっているから気を使いながらやるでしょ?
でも家族とは本音で話せるわけですよね。だって家族だから。
だから「寂しいから本当は近くにいてほしい。でもお前の人生だから最後はお前に任せるけど」ということを伝えればいいと思う。
現代に生きる我々は人に気を使いすぎちゃって、他人の領域に土足で踏み入ることを怖がっているけど、実は土足で踏み入ることによってできる関係性もある。だから本当はもっとワガママというか自分に正直でいいと思うし、この感受性を取り戻すとこれからの日本人はもっと楽に生きられるのではではないかとも思う。
Mさんの長男にしてみれば、父親から「そばにいてほしい」とか「寂しい」と言われたら嫌な気はしないはずだ(皆さんもそうだと思うが、両親のことは常に頭の片隅にあるし、父親とどこか似ているところがあるが故に嫌悪感をいだくことも多かった)。
でも恋人との関係もあるし、仕事の都合もあるから『泣く泣く』妥協することもある。この『泣く泣く』っていうことが父親とのケジメだなって納得しながら生活しているわけですよね。
そんなこと考えてなくてただ「俺は自由だからこっちに住みま~す」なんてことなら、お前ふざけるなよとなりますが…
Mさんの長男がどうなのかはわかりませんが、とにかく身内にはあまり気を使いすぎず本音をぶつけるべきだと思います。そのうえで子供たちの人生を尊重すればいいのです。
そうでなければ嘘になりますから。