花粉症は、春になると多くの人が悩まされるアレルギー性の疾患です。花粉症の症状は、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどで、重症化すると呼吸困難や喘息にもなりかねません。
花粉症の原因は、主にスギやヒノキなどの植物の花粉が体内に入り、免疫システムが過剰に反応することです。
では、花粉症を予防したり、症状を和らげたりするにはどうすればいいのでしょうか？この記事では、花粉症の原因と対策について、専門家の意見や最新の研究をもとに紹介します。
最後に、花粉症に効く市販薬も紹介しているので参考にしてください。
花粉症の原因
花粉症とは、花粉がアレルゲンとなって起こるアレルギー性鼻炎の一種です。花粉症の症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみや充血などで、日本では約2500万人が罹患していると言われています。
では、そんな花粉症の原因は何でしょうか？花粉症は、体内に侵入した花粉に対して、免疫システムが過剰に反応してしまうことで起こります。
免疫システムは本来、細菌やウイルスなどの異物を排除するために働きますが、花粉などの無害な物質に対しても攻撃を仕掛けてしまうことがあります。これをアレルギーと呼びます。
アレルギー反応の仕組みは以下のようになります。
1. 花粉が鼻や目などの粘膜に触れると、アレルギー性鼻炎を引き起こす原因物質であるヒスタミンなどを放出する細胞（肥満細胞）が活性化します。
2. ヒスタミンなどの物質は、血管を拡張させて血流を増やし、鼻や目の粘膜を腫れさせたり、かゆみや痛みを引き起こしたりします。
3. また、ヒスタミンなどの物質は、免疫システムの一部である抗体（IgE）を産生する細胞（B細胞）を刺激します。
4. B細胞は、花粉に特異的な抗体（IgE）を大量に作り出します。この抗体は、肥満細胞の表面に結合します。
5. 次に花粉が体内に入ると、抗体と花粉が結合し、肥満細胞からヒスタミンなどの物質がさらに放出されます。これがアレルギー反応です。
花粉症の原因となる花粉は、主にスギやヒノキなどの針葉樹やイネ科植物などです。これらの花粉は風媒花と呼ばれ、風によって運ばれるため、広範囲に飛散します。また、気温や湿度などの気象条件や地域差によっても飛散量や時期が変わります。
花粉症予防
花粉症は完治することは難しいですが、予防法を知っておくことで、症状を軽減することができます。予防法には、大きく分けて以下の3つがあります。
- 花粉の飛散量を把握する
- 花粉に触れないようにする
- 免疫力を高める
それぞれについて、具体的な方法を見ていきましょう。
花粉の飛散量を把握する
花粉の飛散量は、天気や気温、風向きなどによって日々変化します。花粉の飛散量が多い日は、花粉症の症状も悪化しやすいです。そこで、花粉の飛散量を把握することが重要です。
花粉の飛散量は、インターネットやテレビ、新聞などで毎日チェックできます。また、スマートフォンやタブレットなどのアプリでも確認できます。花粉の飛散量が多い日は、外出を控えるか、マスクやメガネなどを着用して防御するようにしましょう。
花粉に触れないようにする
花粉に触れると、鼻や目などの粘膜に付着してアレルギー反応を起こします。そのため、花粉に触れないようにすることが大切です。具体的には、以下のような対策があります。
- 外出時はマスクやメガネなどを着用する
- 帰宅後は手洗いやうがいをする
- 髪や衣服に付着した花粉を払い落とす
- 室内では空気清浄機や加湿器を使う
- 窓やドアを閉めて花粉の侵入を防ぐ
これらの対策を実践することで、花粉に触れる機会を減らすことができます。
免疫力を高める
花粉症は、免疫システムが過剰に反応して起こるものです。そのため、免疫力を高めることで、花粉症の症状を抑えることができます。免疫力を高めるためには、以下のような生活習慣が大切です。
- 栄養バランスの良い食事を摂る
- 十分な睡眠をとる
- ストレスを溜めない
- 適度な運動をする
- 喫煙や過度な飲酒を控える
これらの生活習慣を改善することで、体の抵抗力を高めることができます。
花粉症治療
花粉症の治療法は、大きく分けて薬物療法と免疫療法があります。薬物療法は、花粉症の症状を抑えるために薬を使う方法で、内服薬や点鼻薬、点眼薬などがあります。
免疫療法は、花粉症の原因となる花粉を少しずつ体に入れて、アレルギー反応を弱めることで花粉症自体を治す方法で、注射や舌下錠などがあります。
それぞれの治療法について、詳しく見ていきましょう。
薬物療法
薬物療法は、現在の花粉症治療の主流です。花粉症の薬には、主に以下の3種類があります。
- 抗ヒスタミン薬：アレルギー反応の直接的な原因物質であるヒスタミンの働きを抑える薬です。鼻水や目のかゆみなどの症状を改善します。眠気や口渇などの副作用があります。
- 抗ロイコトリエン薬：アレルギー反応に関与するロイコトリエンという物質の働きをブロックする薬です。鼻づまりや喘息などの症状を改善します。副作用は比較的少ないです。
- ステロイド薬：アレルギー反応を引き起こす免疫細胞の活動を抑制する薬です。鼻や目の粘膜に直接使用する点鼻薬や点眼薬があります。重度の場合は内服薬や注射もあります。副作用が強いため、医師の指示に従って使用する必要があります。
これらの薬は、市販されているものもありますが、処方されるものもあります。市販薬と処方薬は成分や効果に大きな違いはありませんが、市販薬は保険が適用されないため割高になりますし、副作用が起きても医師に相談できません。処方薬は保険が適用されるため安価ですし、医師による診察や指導が受けられます。
また、人によって効果のある薬が違うこともあります。どの薬が合うかは、実際に服用してみないとわかりません。症状が軽い場合は、市販薬で様子を見ても良いですが、症状が重い場合や市販薬で効果がない場合は、医師に相談して処方薬を試してみましょう。
免疫療法
免疫療法は、花粉症の根治を目指す治療法です。花粉症の原因となる花粉を少しずつ体に入れて、花粉に対する反応を弱めていくという方法です。免疫療法には、以下の2種類があります。
- 皮下免疫療法：花粉の抽出液を皮下に注射する方法です。通院するだけで毎日薬を飲む必要はありません。通院間隔も最長で2～3か月に1回と負担が少ないですし、ダニやスギに対して効果があります。しかし、注射が苦手な人には痛みを伴いますし、まれに全身反応を起こすことがあります。
- 舌下免疫療法：花粉の抽出液を舌の下に含む方法です。注射の必要はありませんが、毎日自宅で服用する必要があります。2014年から保険適用されています。スギ花粉に対して効果があります。
舌下免疫治療薬の効果は全体の80%以上と言われていますが、残りの20%には効果がありません。また、口に花粉を入れるため、アレルギー反応が起こる可能性があります。
免疫療法は、長期間（3～5年）かけて行う治療です。副作用や定期通院などの注意点がありますので、治療開始前に医師から十分な説明を受ける必要があります。
また、すべての医療機関でこの治療を行っているわけではありませんので、事前に問い合わせて確認しましょう。
花粉症に効く市販薬
【アレジオン】
第2世代抗ヒスタミン成分のエピナスチン塩酸塩を1錠あたり20ｍｇ含有。くしゃみ・鼻汁症状にすぐれた効果を発揮します。
【アレグラ】
第2世代抗ヒスタミン成分 フェキソフェナジン塩酸塩が、花粉やハウスダストによる鼻みず、鼻づまり、くしゃみなどのつらいアレルギー症状に優れた効果を発揮します。
【ビスティー鼻炎カプセルL】
Amazon限定で通販のみですが、比較的安価で購入できます。
【エバステルAL】
アレルギー誘発物質の作用を阻害し、さらにその放出を元から抑えることで、アレルギー性鼻炎の症状に優れた効果を発揮します。1日1回の服用でいいのが楽ですね。
【アルガード】
抗アレルギー作用と抗ヒスタミン作用を兼ね備え、かつ眠くなりにくい成分「メキタジン」に加えて鼻水、鼻づまり、頭重に働きかける合計6つの有効成分を配合した効き目を求める方におすすめの鼻炎内服薬です。
まとめ
この記事では、花粉症の原因と対策について詳しく解説しました。花粉症は、花粉が体内に入ると免疫系が過剰に反応して起こるアレルギー症状です。
花粉症の症状は様々ですが、主に、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどで、生活の質を著しく低下させます。
対策としては、花粉の飛散量や自分の体調に合わせて、マスクやメガネの着用、室内の空気清浄、抗ヒスタミン薬の服用などが有効です。
また、食事や運動などで免疫力を高めることも大切です。花粉症は完治することは難しいですが、正しい知識と対策で、できるだけ快適な日常生活を送りましょう。
