ジャガイモは、日本の主要な食料作物の一つです。私も毎年作っているのですが、今年は「そうか病」の被害がかなりありました。
そうか病とは、ジャガイモの表面に大きさ不同で周辺部がやや隆起し、中央部がやや陥没した淡褐色~灰褐色のかさぶた状の病斑を形成し、病斑下の組織は淡褐色を呈し、わずかに腐敗する。というものです。下の写真がそうです。見覚えあるでしょ?
「引用元病害虫・雑草の情報基地」
「そうか病」はジャガイモの代表的な病害で、味や収量への影響はほとんどありませんが、見た目が悪くなるので商品価値を著しく下げ、減収につながります。
自分たち家族だけで消費する方には特に問題は無いのかもしれませんが、ジャガイモ農家の方にとっては死活問題です。
そこで今回は、そうか病の原因と症状、予防や対策方法について詳しく解説します。ジャガイモ栽培にお困りの方は、ぜひ参考にしてください。
そうか病の原因
そうか病の原因は、「ストレプトマイセス属菌」という放線菌(細菌の一種)です。
土の中で有機物を栄養源にしながら、かなり長い期間生存し、菌を含む土が何らかの理由で混入したり、種いもから持ち込まれたりして伝染します。
そうか病の割合が多い場合は、以下の原因が考えられます。
・土壌pHが6.5以上とアルカリ性に傾いている。
・肥大初期である6月中旬~7月中旬頃に地温が20度以上に上がり、乾燥した環境であること。
・ジャガイモの連作や根菜類ばかりを栽培することで、土の中の菌が増殖する。
効果的な対策
無病の種いもや浸漬処理した種いもを使う
最大の予防は、畑に原因菌を持ち込まないことであり、そのためには無病の種いもを入手することが大切です。感染のリスクが非常に低い検査合格証票がついている種いもを使いましょう。
更に、消毒剤を使って種いもを浸漬処理すると確実です。消毒剤は何種類かありますが、「アグレプト水和剤」が良いと思います。使用する際は、定められた倍率に希釈し、ラベルに記載された使用方法に従って処理しましょう。
土壌のpH値を低くする
そうか病菌は、土壌のpH値を低く調整することで増殖を抑制できます。
畑全体に「フェロサンド」などの土壌酸度調整資材を散布し、pHを5.3以下に調整するとよいでしょう。ただし、全面散布だとコスト高になるので、種いもの周辺だけpHを下げる「帯状施用」にすれば、コストを大幅にカットできます。
大豆や緑肥などと輪作を行う
ジャガイモの連作や根菜類に偏った輪作を続けていると、土壌の原因菌が増殖し、感染しやすくなります。これを防ぐために、ジャガイモの前作としてイネ科やマメ科の作物を作付けすると軽減効果があります。特に大豆や、えん麦野生種(緑肥)は高い効果が期待できます。
そうか病に強い品種を育てる
ジャガイモの品種によっては、そうか病に強いものもあるので、それらを選んで育てることも対策になります。以下で、そうか病に強いジャガイモを幾つか紹介します。
*スノーマーチ*
スノーマーチは、北海道で開発されたジャガイモの品種です。雪のように白い果肉であることから、この名前がつけられたそうです。ほんのりとした甘みとしっとりなめらかな食感が特徴で、じゃがいも特有の土臭さやクセが少ないです。
*スタークイーン*
スタークイーンは北海道で開発された品種です。特徴は、あっさりして嫌味の少ない味です。煮崩れしにくいので煮物やカレーなどの和風料理にも合います。
*春あかり*
春あかりは長崎県で開発された新しい品種のジャガイモです。肉質はやや粉質で煮崩れしにくいので、煮込み料理に最適です。
まとめ
そうか病はジャガイモの主要な病害であり、品質に大きな影響を与えます。そうか病の予防や防除には、種イモの選択、栽培管理、農薬散布などの方法があります。
本記事では、効果的な対策方法を詳しく解説しました。ジャガイモのそうか病対策は、早期から取り組むことが重要です。本記事が、ジャガイモ栽培にお役に立てれば幸いです。
ちなみに、そうか病にそっくりな「粉状そうか病」という病害もあり、症状はよく似ていますが、原因や発生しやすい条件が異なり、防除方法も違います。
こちらについては、また別の機会に書かせてもらいます。